-
作業療法士について
・作業療法士(OT)とは
Occupational Therapist(オキュペーショナル・セラピスト)の略で、
さまざまな作業を通して社会適応力を育てるリハビリの専門職です。
具体的には、遊び・玩具・工作等々の作業から、体・手・足の運動機能を高め、
日常生活動作の向上を目指します。
・発達に対しての作業療法の役割
人間の脳は、持って生まれた特性と、生まれた時からの食事による栄養と、
感覚を通して得られる刺激によって、さまざまな個性を伸ばしながら発達していきます。
その発達の過程で、持って生まれた特性のために、子供が受け取る感覚に偏りが生じていることがあります。
また、時代の流れと共に環境の変化が大きくなったために、子供たちが得られる食事や感覚に偏りが
生じやすくなっています。
このような様々な要因が子供の発達に影響を及ぼし、「気になる行動」となって現れると考えられています。
<一例>
よく飛び跳ねる → トランポリン・凸凹な床を歩く・高低差のあるジャンプ
口でよく指や物品をしゃぶる・噛む → ボディタッチ・スライム
箸・鉛筆等を持つのが苦手 → 手押し相撲・指相撲・おはじき
着替えが苦手 → ツイスターゲーム・ダルマさんが転んだ
感覚による栄養が満たされると子供たちの「気になる行動」は自然と減り、別の感覚を求めて
いくようになります。発達が気になる子は、遊びと食事のレパートリーが少ない傾向にありますが、
作業療法の中で、様々な経験を得る機会が増えていくことでレパートリーにも変化が富むようになります。
・「感覚」は発達の土台
上図は、発達の段階を示したものです。一番下に「視覚」「前庭覚」「固有覚」「触覚」「視覚」と
あるように、これらが土台となり、次の第一段階の発達につながります。
土台である感覚の発達が不安定だと、「食事」「言語」「体の器用さ」「手の器用さ」等、
さまざまな部分で困難を要することになります。
土台が安定することは、よりよい発達を促すことになります。
・食事面にも介入
前述のとおり、脳の栄養とは、食事と感覚の2つです。
「偏食」は、感覚の発達の偏りから生じる個性ですが、その「偏食」により、
栄養が限られてしまうことで、さらに脳の発達に影響がでるという連鎖が起きてしまいます。
作業療法では、偏食の改善についてもご提案しています。
~最後に~
作業療法と聞くと、具体的に何をするのかわかりづらいと思いますが、
上記のような介入により、脳の発達の偏りを整えていくように働きかけていきます。
その結果、子供たちの身辺の自立、集団への参加、共感性の芽生え、自己肯定感の獲得に繋がっていきます。
作業療法に対しての質問や、作業療法を行わないが「気になる行動」についての相談などは
随時受け付けております。
子供たちとその保護者の方たちが、楽しんで生活できるよう共に考えて、お手伝いできればと
思っております。どうぞよろしくお願いいたします。